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創作とワインで心のゆとりを取り戻す。街との入口・花園アレイの価値

  • 執筆者の写真: admin
    admin
  • 8 時間前
  • 読了時間: 7分

メンバーの軌跡を残す「花園アレイアーカイブズ」。今回は、2021年から入居し、「創作で、心のゆとりを取り戻す」をコンセプトにアートとワインを掛け合わせたワークショップ事業を展開している「artwine.tokyo(アートワイン・トーキョー)」の永目裕紀さんをご紹介します。多忙な現代人に向けた創作体験の価値や、偶然の出会いから始まった花園アレイでの活動、そしてアート業界の未来に向けた展望を伺いました。


入居時期2021年-現在

artwine.tokyo代表永目裕紀

外資系企業勤務を経て独立。自身の経験から「創作活動」の持つ癒やしの力に着目し、アートとワインを掛け合わせたワークショップ事業「アートワイン」を立ち上げる。広尾などの自社店舗やラグジュアリーホテルでの開催を通じ、誰もが気軽にアートに没頭できる空間を提供している。


「創作」とお酒で、自分自身を取り戻す時間


──まずは、「アートワイン・トーキョー」の事業コンセプトについて教えてください。


永目:「創作で、心のゆとりを取り戻す」というコンセプトを掲げています。私自身、かつて外資系企業で朝から晩まで忙しく働いていた時期がありました。その時、週末に音楽を作ったり絵を描いたりといった「創作活動」に向き合う時間が、心のゆとりを取り戻し、自分をリセットする大きな癒やしになっていたんです。


普段忙しく働いていると、「チームのため」「お客さんのため」と、ミスなく素早く仕事をこなすことが至上命題になりがちです。プライベートでもSNSなどのテクノロジーに支配され、自分自身を見つめ直す時間がなかなか取れません。だからこそ、そうした環境から離れ、「私ってこういうものが好きだったな」と自分に向き合える瞬間が世の中に求められていると考え、この事業を始めました。


単なる「絵画教室」ではなく、ワインを片手に非日常的なリラックス空間を味わう「体験型エンターテインメント」を提供しています。ゴッホ、モネ、クリムトなどの西洋の名画から、葛飾北斎などの日本画、さらに抽象画(フルイドアート等)まで幅広い画題を用意し、視覚と味覚の両方でアートの世界に没入していただきます。



──「創作」にワインを掛け合わせたのはなぜですか?


永目:元々ワインが好きだった、というのもあるのですが、ワインの勉強をしていた時に、ワインの生産地や銘醸地と、画家が歩んだ土地や絵を描いていた場所が重なっていることが多いと気づいたのがきっかけです。


「もしかしてこういうワインを飲みながら描いていたのかな」と想像が膨らみましたし、実際に多くのお酒を嗜みながら制作していた画家もいます。


ワークショップでは、専属のソムリエが「その日描く絵画や画家の背景・特徴」に合わせてセレクトしたワインを楽しめるようになっています。画家のエッセンスや絵の世界観に合わせてワインの土壌や生産者の想いを選び抜くことで、精神的に深く没頭できる仕掛けにもなっています。


──絵を描くのは初心者でも参加できるのでしょうか?


永目:もちろんです。大人になってから自分で作品を作るのは、たしかにハードルが高い行為ですよね。学校で「上手い・下手」の評価をつけられたトラウマがある方も多いと思います。だからこそ、程よいお酒の力で、そうした緊張感や心理的なハードルを下げています。

さらに、サポート体制も整えています。東京藝術大学などの美大出身の講師陣が丁寧にレクチャーするため、初心者であってもワークショップを通じて、最終的には完成度の高い作品を仕上げることができます。


また、キャンバス、絵の具、筆などの画材はもちろん、服が汚れないためのエプロンや、完成した作品を持ち帰るためのバッグまで、必要なものはすべて会場に用意しています。参加者の方には「手ぶら」で気軽に訪れていただき、日常から離れた贅沢な時間を過ごすことができます。



──どのような方が参加されているのでしょうか?


永目:20代後半から60代くらいまで、日々忙しく過ごされている方が多いです。アートについてはほとんどが初心者の方ですね。バリバリ働いている方や、子育てに追われている方など、心にゆとりが欲しくて「ちょっと新しい趣味を始めてみたい」「休みたい」と感じている方が足を運んでくださいます。


女性の方が多いですが、男性お一人でのご参加もあります。ビジネスの世界で「ロジックや数字だけでは行き詰まる」と気づき、感性や表現を磨きたいと考えている方がリピートしてくださっていますね。


散歩で見つけた「聖地」。よそ者を街と繋ぐ花園アレイ


──花園アレイに入居された経緯を教えてください。


永目:ワークショップの講師を東京藝術大学の学生にお願いしたいと考えていたので、大学に近い上野や根津エリアで物件を探していました。不動産屋に行く前に自分の足で街を歩いてみようと散歩していた時、偶然このビルを見つけたんです。


住宅街の中で密集している空間に突然開ける場所があり、レトロなヴィンテージマンションのような雰囲気に惹かれました。5階にあるギャラリー「The5thFloor」で展示が行われていたので、それを見に行き、その場にいた作家さんに紹介していただいたのが入居のきっかけです。



──入居して、花園アレイのどのような点に価値を感じていますか?


永目:まず、コンクリ剥き出しの歴史あるアトリエのような空間が、我々の事業と非常にマッチしています。お客様からも「ここはアートワインの聖地だから無くさないでほしい」と言っていただけるほど、かっこいい空間ですね。


そして何より、この街に根付いている感覚が得られることです。ここは元々、地元のスーパーの社員寮だった建物です。建物のオーナーも、この上野・根津という地域と一蓮托生でやっていくという強いマインドを持っていらっしゃいます。


我々は「よそ者」のはずですが、花園アレイという場の存在、そして1階のカフェのような開かれた空間があるおかげで、自然と街に溶け込み、受け入れてもらえていると感じます。ただのオフィスビルに入居しただけでは、決して得られなかった「街との接点」という価値がここにはあります。


アーティストを下支えするインフラへ。アート業界の未来を拓く


──今後の事業展開についてお聞かせください。


永目:まずは、お客様が心地よく過ごせる空間を、自社店舗や提携先のホテルなどでさらに増やしていくことです。それに加えて、提供する体験のバラエティも広げていきたいと考えています。


選べる画題やワインのラインナップを増やすのはもちろんですが、さらに先の展開としては、絵画以外のジャンルにも挑戦したいですね。例えば彫刻を作ってみたり、音楽を掛け合わせてみたりと、様々な「創作」のアプローチを取り入れていく構想があります。


また、もう一つの側面としては、講師をしてくれている美大出身者たちの「経済的な基盤」を作りたいという思いがあります。美大で高い技術を身につけたアーティストたちの中で、絵だけで食べていける人はほんの一握りです。絵とは全く関係のないアルバイトで食いつないでいる状況も多い。だからこそ、自分の技術やセンスに誇りを持って働ける仕事を提供し、アーティストとしての活動と両立できる職場を作りたい。私たちの事業が、アート業界を下支えする「インフラ」のようになれたらと考えています。


──最後に、花園アレイはどのような人や企業に向いている場所だと思いますか?


永目:花園アレイが持っているような、「この街と一緒に生きていく」という覚悟に共感し、地域に貢献したいと思える企業が合っていると思います。私たちのアートワインの事業も、普段はあまり上野や根津に足を運ばないようなお客様をこの場所に呼んできて、「こんなにいい街なんですよ」と直接伝えていくような役割を担えていると思っています。同じように、ただオフィスとして使うだけでなく、この街の魅力と重なり合いながらお客様に価値を提供できる事業だと、非常に親和性が高いですね。


上野や根津は、かつて東北など他の地域とを繋ぐ交通のハブであった歴史や、鉄道がもたらしたインパクト、あるいはアメ横の成り立ちに見られるようなディープな側面など、深掘りするほど面白い文化があるのに、まだまだ知られていない部分も多い街です。例えば食や伝統工芸など、分野は何でもいいと思うのですが、この街の魅力を発信し、外から人を呼び込む「街のハブ」になれるような人たちが集まると、花園アレイはさらに素敵な場所になるのではと思います。



 
 
 

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