メンバーの軌跡を残す「花園アレイアーカイブズ」。今回は、日本初のタフティングスタジオを花園アレイでオープンした株式会社三好敷物(旧株式会社毛毛)の市川さんと高山さんをご紹介します。ラグ制作のワークショップを通じて、内と外とのかかわりをつくり、花園アレイをいっそう盛り上げていた同社。入居の経緯やスタジオとしての活用、花園アレイだからこそできたことについて伺いました。
入居時期
2021年8月〜2023年12月
ーはじめに、御社ではどのようなことをされているか教えてください。
市川:花園アレイに入居していた「tufting studio KEKE」としては、ラグづくりを体験できるタフティングスタジオの運営とラグづくり用の資材販売、別事業として他社様のラグを生産するOEM事業、オリジナルラグの製造販売を行っています。製造は徳島県の自社工場での生産を中心に、近隣の工場にも手伝って頂きながら行っています。入居当時はそれぞれ別の事業所での運営でしたが、現在は、移転先の白金台の事務所に製造以外の事業所をまとめました。
高山:ラグづくりのワークショップでは、タフティングガンという手持ちのミシンを使ってご自身が好きなデザインや形でラグを作ることができるんです。例えば、飼っているわんちゃんや猫ちゃん、自分の好きな生き物、会社のロゴ、自分で描いたイラスト……。また、お子さんの絵をそのままラグにしたり、結婚式のウェディングボードを作ったり、ラグ以外にタペストリーや小物、トイレマットを作ったりする方もいらっしゃいます。
ー花園アレイに入居したきっかけを教えてください。
市川:以前在籍していたスタッフからの紹介です。近くに東京藝術大学がある地域性や立地の良さ、家賃などから良いなと思いました。
あと、入居されている方々と弊社との相性が良さそうに感じたのも選んだ理由ですね。日本初のタフティングスタジオである私たちと同じように、何かを新しく始めたスタートアップの方や、興味関心が近いアーティストの方が多く、建物の方向性や雰囲気と合っていると思い入居を決めました。
前述の通り、会社の成長に伴ってすべての事業所を一つにまとめることになり、2年ほどで退去する形にはなったのですが、期待していた通りの場所でした。
ー入居していた当時、花園アレイをどのように活用していましたか?
高山:1階と2階の部屋を借りていて、1階でタフティングのワークショップを行っていました。部屋はワークショップ専用に作らせてもらっていて、ラグ制作用の糸がすっぽり入るような大きい棚を工事で壁に設置して、真ん中に大きい机を置いて、必要なものだけを置いていましたね。当時はそこで週に4回、1日6人にワークショップをしていました。また、お客さんがいないタイミングではInstagramにあげているような自分たちの作品の制作もしていました。
2階の部屋は他の方とシェアをして使っている部屋で、在庫やタフティングガンなどの機材を全部置かせてもらっていました。加えて、1階の共有ラウンジも使ってパソコン作業をさせてもらっていて。かなり自由度高く使わせていただいていたのはすごくありがたかったです。
ー花園アレイだからこそできたことはありますか?
市川:興味関心が近い人たちが入居していたので、興味のあることを共有したり、お互いに集客し合ったりすることができたのは花園アレイだったからこそだと思いますね。
高山:ワインを片手に絵画を描くワークショップ「artwine.tokyo」をされている株式会社Art Wineさんとは特に親交が深かったです。お互いに体験したり、artwine.tokyoに来られたお客さんに「下でもワークショップをしているんですよ」と宣伝していただいたりしました。
あと、月に1回開催される入居者の飲み会で他の入居者の方とお話しして仲良くなったり、タフティングガンの「ダダダダ」という音を聞いて気になってのぞきに来る入居者の方もいたりしましたね。機械の音自体は掃除機より小さいんですが、6台同時に動くので、何をしているのか気になって見に来ていたようです(笑)。こうした入居者同士の距離感の近さは花園アレイならではだと思います。
また、外から訪れる方との接点も多かったですね。特に、5階の展示スペースには休日に沢山人が来るので、同じように音が気になって見に来る方がいました。やっぱり展示を見に来る方々はアートに興味がある方が多いので、そこで興味を持ってワークショップを予約してくださることもありました。
他にも、のりを乾かすためにワークショップで使う木枠を外で干していたのですが、これが何なのか気になって近所の方が来ることもあって。地域との距離感が近かったのも花園アレイならではでしたね。
ーワークショップや展示で訪れる人や地域の人との接点となったり、音がしていたりすることで、花園アレイを盛り上げるような存在だったんだろうと想像できますね。
高山:そうですね。ありがたいことに、退去の際にはいろいろな方からそう言っていただいて。ワークショップがなくなる分お客さんも減るし、音もしなくなるし、にぎわっている感じがなくなって寂しいと言われました。出ていく私たちも寂しかったですね。
ー入居していた当時、花園アレイで気に入っていたところはありますか。
高山:いろいろな木が育っていて普通のマンションじゃないようなおしゃれな雰囲気があったり、入口に「花園アレイ」のかっこいいロゴが光っていたりするのは個人的に気に入っていました。
あと、すごく快適に過ごせる場所だったのも良かったです。常に管理人さんが綺麗にしてくださっていて整っているし、夜の10時くらいになると消灯のパトロールの方が来られるんですよ。夜も安心して過ごすことができました。
ーこれからの花園アレイに期待することや、今後こういう場所になってくれたらという想いがあれば教えてください。
高山:弊社が借りていた部屋に今は何もないので、活用していただいて、もっと盛り上がってくれたら嬉しいですね。棚もそのまま残しているので、ぜひそれも使ってほしいです。
あと、先日弊社のメンバーで1階にあるカフェ「Room101」に行ったんですよ。そうしたらお客さんがたくさんいて。近所のご夫婦やお子さんを連れている方、ペット同伴の方もいて、すごく盛り上がっているのを見て嬉しかったです。こうして、もっと皆さんに花園アレイを知って親しんでいただけたら良いなと思いますね。
Comments